「伊吹鳥兜・高嶺鳥兜・筑波鳥兜・山鳥兜」   キンポウゲ科トリカブト属
「イブキトリカブト」    滋賀県米原市  伊吹山にて (2008.9.14)
上野口から3合目迄車で上がり楽して山頂を踏む、花の時期には遅く本種とコイブキアザミが目立っただけだ。
伊吹山頂上近くから山頂部に点在し咲いているが、同じように上に花が密集するコイブキアザミと共に珍しい。

本州関東地方・中部地方・近畿地方の亜高山の草原等に自生し、8〜11月深紫色の花が上部に密集して付け、
花柄に屈曲毛が有る。

花は萼片の長さ3〜4cmの兜形をし、散房花序又は円錐花序に上から順に開き花弁は萼片の中に隠れている。

茎は滑らかな円柱形で直立又は斜上し高さ50〜150cm、茎の枝分かれは無いか少なく、葉は柄が有り長さ
幅共5〜15cmで互生し、緑色で厚く光沢が有り革質で3〜5浅裂又は中裂、裂片には不揃いの鋸歯が付く。

花の名前は伊吹山で最初に確認され、花の姿が雅楽奏者が被る装飾品「鳥兜」に似て「伊吹鳥兜」と付いた。

       山歩き記録 ⇒伊吹山
「タカネトリカブト」    長野県駒ヶ根市 木曽駒ヶ岳にて  (2007.8.10)
木曽駒ヶ岳山頂から眺望抜群の尾根道を将棊頭山方面に行き、途中から濃ヶ池に下って行くと咲いていた。

本州中部地方の高山帯の草地に自生し、8〜9月花柄の先に花弁に青い筋が入る濃青紫色の花が1個咲く。

花序は散房状となり、花は長さ3cm程の烏帽子形で口部に直毛が有り、花柄・萼は無毛の上萼片は円錐形
で兜部分は短い。

茎はしばしば稲妻型に曲がり、学名に「aconitum ziguzag lev et vant」とジグザグの名前が付き、背丈50
〜70cmとなり上部で枝別れし、屈毛(毛が曲がっている)が付き、葉は基部近く迄3深裂の側裂片は
2深裂し、側裂片は更に2深裂する。

木曽駒ヶ岳に咲くのはタカネトリカブト(花柄=無毛・雄蕊=無毛)とキタザワブシ(花柄=屈毛・
雄蕊=直毛)の2種とされ、本種とした。

花の名前は高地に自生で「高嶺(タカネ)」、雅楽の奏者が付ける冠を「鳥兜(トリカブト)」と言い本種の
花の形が似て「高嶺鳥兜」と付く。

        山歩き記録 ⇒木曽駒ヶ岳
「ツクバトリカブト」    長野県茅野市 八島ヶ原湿原にて (2009.8.25)
八島湿原に咲いているのはツクバトリカブトとの事、然し特長の葉が3全裂しているように見えないのだが?
花の咲いていた場所は湿原の中で散策路から離れて近くで確認はしていない、草姿は八子ヶ峰のと似ていた。
「ツクバトリカブトと蓼科山」   長野県茅野市 八子ヶ峰にて (2009.8.26)
八子ヶ峰の散策路は広く眺望に恵まれ近い蓼科山が素晴らしく、叉花も多く咲いてお勧めの散策道。

東北地方南部の太平洋側〜関東及び中部地方に自生し、8〜10月青紫色の花を上部に密に付け、
花は長さ3〜4cmの兜形で散房花序に上から順に開く。

茎は高さ50〜150cmで直立又は斜上、葉は互生し大きさ5cm〜20cm偏円形で3全裂し、
側裂片は更に2深裂し裂片に欠刻状の鋸歯。

特長は葉が3全裂と花柄に曲毛が見られる事で、花の名前は最初に筑波山で確認され付けられた。

      山歩き記録 ⇒八子ヶ峰
「ヤマトリカブト」    長野県高遠町 守屋山にて (2003.9.27)
本州中部地方以北の山地に自生し、8〜10月頃兜形青紫色3〜4cmの美しい花を付ける。

花は茎先と葉脇から花序を出し、上萼片(かぶと)側萼片(中部2枚)下萼片(下部2枚)
及び、嘴(雄蕊の上)距(上部背後)雄蕊が多数。

葉は互生し円心形で長さ約10cm深く3〜5裂し、裂片は披針形又は卵状披心形で荒鋸歯。

本種はオクトリカブトの変種とされ茎は弓なりに曲り易く、花の外側に曲毛が有り内側には
曲毛と直毛が生える。

鳥兜は雑種を作り易いとされ種の境界が定かでなく、学者の間でも諸説が出て区別が明解で
なく3種類同時掲載。

花の名前は雅楽の奏者が鳳凰をかたどった冠を付け「鳥兜」と言い、本種の花の形が似て
山地に自生で山鳥兜と付く。

      山歩き記録 ⇒守屋山


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