「薙刀香需」    シソ科ナギナタコウジュ属
「ナギナタコウジュ」   岐阜県下呂市 御岳御厩野林道にて(2010.10.5)
白草山の帰り鞍掛峠に降り状態の良い林道を延々と歩き、車を置いた白草山登山口に着かないか
と思い始めた頃見られたが、咲く花の数は多いが場所が林道山側斜面で、良い被写体が無かった。

      山歩き記録⇒ ⇒白草山
「ナギナタコウジュ」   長野県阿智村 恵那山広河原登山口手前にて (2009.9.25)
恵那山広河原登山口手前の林道車止めから2km程歩いて行くと、ひょろっとした感じで咲いていたが、
花の最盛期はこれからのようで蕾が多く、叉色も紅紫色とされているが青紫色が薄くしか出て無い。

北海道及び本州・四国・九州の山野に自生し、9~10月頃枝先に花穂を出し淡紅紫色の花を多数付け、
開花後花穂全体が内側に曲がる。

花は枝先に薙刀状の花穂を出し多数を片側に偏って付け、大きさ約5mm先が4裂の筒形唇形花、先が
2裂の雌蕊(花柱)と4個の雄蕊は花弁から突き出し雄蕊は長く、花の反対側は花の付か無い苞が並ぶ。

茎の高さ30〜60cmで、葉は対生し長い柄が有り卵形〜狭卵形で先は尖り縁に粗い鋸歯が見られ、
全草に匂いが有り草を揉むと強い香りがするが良い匂いでは無い。

花の名前は本種の全草を乾燥させたものを、漢方の生薬名で「香需」と呼ばれ、花が片側に付き弓状で
薙刀の刃先を思わせ、「薙刀香需(ナギナタコウジュ)」と付いた。

        山歩き記録⇒ 恵那山
「太穂薙刀香需」 (フトボナギナタコウジュ)  岐阜県下呂町 林道にて (2003.10.19)
寺田小屋山山頂で御嶽山の眺望を楽しみ下山、帰り林道を少し違う方面に寄り道すると咲いていた、
場所は山の中だが太く立派で花の付きが良く、一般の薙刀香需と違い目立ったが美しさは感じ無い。

本州福島県以西と四国・九州の草地や林縁に自生し、9〜11月淡紅紫色の花を穂状に多数付ける。

花は長さ3〜5mm白い毛が密生し、花穂は中央より少し上が最も幅広く扇状扁円形の幅10mm程、
苞が2個対で2列10〜20段が一方に偏って密に付き、苞に花が1〜6個付き花数が多い物は苞の
幅が広く、最上部の苞は披針形で花が付かず、上段の苞は幅が狭く花数1〜2個で幅広い苞は5〜
6個付き、花序の分枝した側枝の花穂や苞の幅は狭く花数は1〜3個。

先が2裂の雌蕊(花柱)1個と雄蕊4個は下側の2個が長く花の外に突き出て、萼は浅く5裂し毛が
密生し腺点が有る。

茎の高さ30〜80cmで、葉は対生し1〜5cmの柄の先長さ2〜7cm卵形で縁に不規則な鋸歯
が付き、葉表と葉裏の中央脈に毛が生え葉裏には腺点、写真の葉は基部葉柄にかなり流れていた。

似るナギナタコウジュは葉幅が狭く、花穂の幅が約6mmで苞に花が普通3個程度しか付かない。

花の名前は花が花穂の片側だけに付き、花穂が弓なりで薙刀の刃先を思わせ、中国の生薬「香需」
に似て直立する傾向が有り、花穂が太く「太穂薙刀香需」と付く。

尚「ナギナタコウジュ」と本種の区別が混乱し、確かな区分がされて無いのが現状の様だが、写真は
明らかに太さが違い、「太穂(ふとぼ)」と付けるのに全く違和感は感じ無い。

     山歩き記録⇒ ⇒寺田小屋山


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