「ベニドウダン(チチブドウダン)」
長野県 大川入山登山道にて (2002.6.22)
治部坂峠の北に入った登山口から登り、横岳を過ぎた見晴らしの良い所に真っ赤な花が咲いていた。
関東地方~近畿地方の山地の岩尾根等に自生の落葉低木で、5~6月濃紅色の花を下垂し付ける。
花は長さ3~4cmの花序に3~6mmの釣鐘形を5~10個付け、先は不揃いに裂け裂片は鋭頭の
三角状で、花柱が花冠から少し飛び出す。
木の高さ1~4mで葉は枝先に集まって輪生状に付き2~4mmの柄が有り、長さ1.5~3cmの
倒卵形~狭卵形で、下部は葉柄に流れ先は変化有り、縁の鋸歯も微~粗と変化が見られ、葉表
無毛の葉裏基部に疎らな毛。
「ベニドウダン」は近畿地方以西に自生し花柱は飛び出さず、「チチブドウダン」は関東地方~近畿
地方に自生し花柱が飛び出るとされるが、本写真は僅かに花柱が出ているが明確で無い、現在は
同一種とし「ベニドウダン」とするのが一般の考えとされ、それに従った。
木の名前「紅灯台」は枝が良く車輪状に分岐する姿を、枝や棒や細い竹を三本交叉し結び合わせて、
上端の三叉状の上に灯明皿を置いた形式の灯明台を結灯台(むすびとうだい)と云い、最も古い形式
の物で現在も神社の神事や宮中の古式行事に用いられる。
この灯台の上部の灯明皿を載せる部分を枝の分岐する姿に重ね、「トウダイツツジ」と呼ばれたのが
転訛し「ドウダンツツジ(灯台躑躅)」とされ、簡略し紅花で「紅灯台(べにどうだん)」。
「満天星躑躅」は昔中国の太上老君(たいじょうろうくん・だじょうろうくん)=道教の神が仙宮で
霊薬を練る時に誤ってこぼした玉盤(ぎょくばん)の霊水が、たまたまこの木の枝に降り注ぎ凍り
壷状の玉になり、満天の星の様に輝いたとの故事に因み付き、漢名「満天星(まんてんせい)」
を充てた。
「秩父」は埼玉県秩父山地で最初に見付けられ付く。
山歩き記録⇒
⇒大川入山
| |